【コラム】3歳のある夜を境に、花恐怖症になってしまった女の子のお話。(実話)
2019/10/12
こんにちは、イラストレーターのKiKi(@kikiiiiiiy)です。
このブログでは、主に”ドイツでのオペア留学”や”ベルリンで”イラストレーターとして挑戦していく奮闘記録”を書いていましたが、少しずつ自分のことも書いていこうかなと思います。
最近、同居人と暮らし始めて頼まれた野菜を買ってこれなかったことをきっかけに自分が『花恐怖症』であることを告白しました。
花が基本的に怖いんですけど、『私は生きている!!』と強く主張してくる野菜や葉っぱも怖くて触ることができなかったりします。ちなみに虫は全然大丈夫です。
花恐怖症であることを話すと、みんな『え、それどういうこと!?』と言われて、そのたんびに説明をするのですが、同居人に『それ面白いから絶対ブログに書いたほうがいいよ。』と言われたので、今回書いてみることにしました。毎回説明するのも大変だから、聞かれたらこの記事のURL送りつければいいしね!笑 効率化のためにも、書いてみようと思います。
よかったら、お付き合いください◎
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Contents
- 1 改めまして、私は『花恐怖症』です。
- 2 『花恐怖症』になった原因は、3歳の夜に『ある絵本』を読んでもらったこと。
- 3 私の瞳には”花たち”がこう映る。
- 4 花恐怖症で苦労したこと。
- 4.1 おばあちゃんの棺にお花をいれてあげられなかった。
- 4.2 ジャポニカ学習帳がこわくて、父を困らせた。
- 4.3 小学校低学年の頃、『花恐怖症』を面白がった男子に花を持って追いかけまわされて大号泣。緊急学級会が開かれる。
- 4.4 担任が代わるたびに、花恐怖症を説明することが面倒。理解してもらえない。
- 4.5 小学校の『花いっぱい活動』に毎回苦しめられる。いっぱいにしないで…
- 4.6 夏休みの宿題、朝顔観察日記ができない。
- 4.7 お花見に誘われて行っても、常にソワソワする。
- 4.8 美大に合格後、友人のお母さんに『芸術の道に進むのに花の美しさが理解できないなんて、直さなきゃダメよ!』と生花を強制されて号泣して震える。
- 4.9 花束をプレゼントされた時に、嬉しい顔をすることが本当につらい。
- 4.10 花だけでなく、花を連想させる『ブロッコリー』『カリフラワー』のほか、『レタス』などの野菜も、『私たちは生きている!!』と強く主張されるとこわくて料理できないどころかスーパーで買うこともできない。
- 5 花恐怖症を発症して、25年。それでもましになってきています。
- 6 お花の絵を描くことに関して。
- 7 そんな感じで、これが”花恐怖症”というやつです。
改めまして、私は『花恐怖症』です。
花恐怖症
症状:花が怖い / 生きていると強く主張してくる葉っぱ類も怖い。
影響:近づけない、触れない、酷い時は恐怖で泣く、震える。
『花恐怖症』になった原因は、3歳の夜に『ある絵本』を読んでもらったこと。
小さい頃、毎晩寝る前に絵本を読んでもらっていました。3歳のある夜に、読んでもらった絵本が気かっけで、花恐怖症になります。
それは、ディズニー映画の『不思議の国のアリス』。
私はこの歌が好き。
アリスが花達に道を尋ねると、その花が答えてくれるのです。今はそんなことはないのですが、当時は絵で表現された外国人の彫りの深い顔と濃い化粧のキャラクター達がとても苦手でした。
そんな顔が花についていて、しかも話す。。。恐怖以外の何物でもありませんでした。
そのシーンが強烈にショックで、見たのは絵本でしたが、寝る前にそのお話をされて眠りについた私は想像力を最大限に発揮してしまい、その花の大群に追いかけられて食べられるという悪夢にうなされます。
それがどんな様子だったのか。一度、絵に描いたことがあります。
オペア留学に必要だった保育経験を積む必要があり、日本で保育実習をしていた頃、子供達が山に生えていたお花を摘んでいてくれてプレゼントしてくれたのですが、受け取れませんでした。そのことをきっかけに、正直に”花恐怖症”であることを告白しました。
その時に子供達に『あんなに綺麗で可愛いのに、こわいなんて、どうして??なんで??』ときかれ、それを説明するために、子供達と一緒に描きました。
それが、こちら↓
右が私で、左がアリス。とにかくこんな感じの悪夢。
最初はお花達だけを描いたのですが、『きよの(本名)先生とアリスも描かないと、状況がよくわからない!』と指摘されて、子供達と一緒に追加で描きました。笑
その時の様子は以下の記事にも書いているので、よかったらこちらも読んでみてください◎
この絵本を読んでもらう前は母方の祖母が生け花教室の先生をしていたので、平気でオアシスにぷすぷすお花を挿して遊んでいた子だったのですが、本当にこの夜を境に、一切お花に触れなくなりました。
ディズニーアニメーションが大好きな人たちに、誤解がないようにこれだけは伝えておきたいです。
私は大学でアニメーションを専攻していて、『アニメーションの技術と歴史について(正式な講義名は忘れちゃいました苦笑)』という講義を取っていたので、そこでもちろんディズニーアニメーションの技術や歴史についても学ぶ機会がありました。その時に、素晴らしさや偉大さについて気づきました。
私の場合はあまり良くない方向に影響を受けてしまいましたが苦笑、その繊細さと、それだけ強い影響を子どもに与えてしまうほどの力を持ったアニメーションなのだから、世界中の子供達に夢を与え続けているのだなと感動しました。
『不思議の国のアリス』に関しては、小学校5年生の頃NHKのお正月スペシャルで放送されていた実写映画『Alice in Winderland (1999)』を見て克服し、むしろ大好きな物語の一つになっています。
お正月にテレビをつけて、ぼーっとしていたらこの映画が始まりました。初めにアリスがこの歌を歌うのですが、それがすごく気になって魅入ってしまいます。
上の動画は英語だけど、NHKで見たときは日本語で吹き替えられていて、『赤く熟れた さくらんぼ〜だ あ〜まく〜て おいしい 赤く熟れた さくらんぼ〜〜……』って歌っていました。未だに頭から離れません。とっさにビデオの録画ボタンを押し、それが擦り切れるくらい何度も見るようになります。
途中から、『あ、これは不思議の国のアリスだ』と気付いたのですが、この世界観に魅入られずっと見てしまい、『多分この辺で”奴ら”が出てくる…!』という部分は事前に察して、テレビの前から離れ、その他はすべてみました。
このクレイジーな人たちが愛おしくてたまらない。
ウミガメもどきが、『僕は、昔、ウミガメだった…!本当のっ…ぐすっ…ウミガメだったんだあああ』と号泣するところが好きだったんですけど、Youtubeで見つかりませんでした。↓がウミガメもどき。
その後、挿絵が少ない『不思議の国のアリス』を買ってもらい本も読むようになります。
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大人になって『不思議の国のアリス』を読むと、子供の頃に感じたクレイジーな人たちへの愛しさが、本当は人間の深い部分の本質をついていたんだなと気づけるようになります。
ぜひ、もう一度読み返してほしい本です。
私の瞳には”花たち”がこう映る。
さて、花恐怖症のお話に戻りましょう。
自分が花恐怖症だと告白すると、みんな口を揃えて『何が怖いの?理解できない!』と言います。その度に私は説明をするのだけれど、結局理解してもらえなくてもやもやしています。
なので、ここで説明します。
私には、”花たち”が『濃い化粧をして気取っているキツめで攻撃的な女性』に映っています。彼女たちは生きていて、美しいんだけど、怒らせたら牙だらけの口を大きく開けて食べられてしまう。近づいてはいけない、そんな感じです。
だから花の中心部分は怖くて直視できないし、花びらの感触も恐怖でしかなく、震えます。触れたり、触れさせられたりすると、体がビクッとなります。
さらに恐怖を感じるのは、命尽きてゆく過程。つまり、枯れていくさま。顔が爛れていくような、ミイラになっていくような、枯れて道端に落ちている様を見たときなんか、何かの呪いで朽ち果てた死体のように感じ、怖すぎて近づけません。
もう少し具体的に説明するために、突然ですが『怖い花ベスト3』を書いてみようと思います。
怖い花ベスト3
1、ひまわり
彼女たちは太陽の動きに合わせて動く上に、大きい。大きすぎる。怖い。一番怖いのは、役目を終えて子孫を残すために顔についてる種たちがボロボロ落ちて朽ち果てるとき。顔が焼けただれていくかのように見えます。例えるなら『はだしのゲン』の原爆シーンに描かれている人たちのように感じます。
2、牡丹
彼女たちも大きいというのもあるのですが、一番怖いのは、牡丹の花って道端に落ちてくるじゃないですか。あれが私には生首が落ちてきて、朽ち果てているように映ります。ごめんなさい、許してください、というなんとも言えない感情でいっぱいになります。
3、蓮・蓮華
大きい。のと、花びらの開き具合が、食べられそうな感じがして恐怖です。水に浮いているのも、水の下に何かあるのではないかと疑ってしまいます。
番外編:出会ったら怖すぎると思うもの
ハイビスカス(南国に奴らはいるので今の所幸い遭遇したことはありません)
花恐怖症で苦労したこと。
おばあちゃんの棺にお花をいれてあげられなかった。
これが一番花恐怖症になって後悔していることです。私はおばあちゃん子だったのですが、そのおばあちゃんが亡くなり、お葬式の時に、近い親族の人たちがお花(菊の花だったかな…)を順番に棺に入れていくのですが、当然孫の私にもお花を渡されます。当時9歳くらいだったと思うのですが、大好きなおばあちゃんが亡くなったショックと、花を持たされるというダブルショックで大号泣し、周りの大人たちを困らせてしまいました。私が花恐怖症だということを理解してくれていたのは、『不思議の国のアリス』の絵本を読んでくれた父だけだったので、父が周りの大人たちを説得してくれて、お花を持って棺に入れるという行為からは免れました。でも、周りの大人たちに『きよのちゃんにお花入れてもらいたかったと思うよ』と言われ、『おばあちゃん、ごめんなさい…』とすごく落ち込みました。。
その時同時に恐怖に思ったことは、『人は死んだ時に、お花を敷き詰められた箱に閉じ込められてしまうんだ』ということ。今でも、私はそれを想像しただけで恐怖です。まだ先のことだとは思いますが、どうかお花を敷き詰めないでほしいです。。
ジャポニカ学習帳がこわくて、父を困らせた。
なんにも考えずに父は買ってきたと思うのですが、ジャポニカ学習帳のお花の写真シリーズを買ってこられた時は『こんなの怖くて勉強できない!!』とすごく怒りました。苦笑
ジャポニカ学習帳の写真はとても綺麗でリアルに感じてしまうので、写真であっても、とても怖かったのを覚えています。
小学校低学年の頃、『花恐怖症』を面白がった男子に花を持って追いかけまわされて大号泣。緊急学級会が開かれる。
まず『花が怖い』という感情は、普通理解してもらえないし、子供にとっては変な子、またはいじる対象になってしまいます。よく面白がった男子に花を持って追いかけ回されて、大号泣。それがしょっちゅうな回数だったので、先生がそれをテーマに緊急学級会を開いてくれて『なぜ、きよのちゃんに花を持って追いかけまわしてはいけないのか』という話し合いをみんなでしました。
担任が代わるたびに、花恐怖症を説明することが面倒。理解してもらえない。
地元は小さな村で、小学校1年生から中学3年生まで一クラス・メンバーは一緒でした。だからクラスメイトは花恐怖症についてよく理解してくれていましたが、担任が代わるたんびに説明することが大変でした。やっぱり、理解してもらえないんです。
ただ、上に書いた緊急学級会のおかげで、クラスメイトたちが一緒に担任の先生に説明してくれるようになりました。
小学校の『花いっぱい活動』に毎回苦しめられる。いっぱいにしないで…
『花いっぱい活動』というのを常にしていて、毎年お花を育てることを強制されます。それが苦痛でたまらなかったです。ベランダは常にお花のプランターでいっぱいだし、一人一輪選んで育てなくてはいけないし、水をあげなくてはいけないし。。。友達に助けてもらって、いつも逃げていました。
夏休みの宿題、朝顔観察日記ができない。
朝顔を、なぜ育て、なぜ観察し、なぜその記録を残さなければならないのか。毎年の大きな疑問でした。当然できるわけもなく、水をあげることもできないし、かといって放置して枯れていく様も恐怖でしかないので、毎年おじいちゃんが水をあげていてくれた気がします。ありがとう。。
お花見に誘われて行っても、常にソワソワする。
お花見でみんなでワイワイしたり、美味しいご飯を食べることはとても楽しいと思います。。でも、その場で風でも吹いて、花びらが落ちてきたら私はいてもたってもいられなくなります。
美大に合格後、友人のお母さんに『芸術の道に進むのに花の美しさが理解できないなんて、直さなきゃダメよ!』と生花を強制されて号泣して震える。
その話をされた時に、『確かにそうかも。。』という想いと、『治せるわよ!!』といい説得に『治せるなら直したい』という想いから、生け花に挑んだのですが、数十分間にらめっこしたのち、しびれを切らした友人のお母さんに花を触らせられて号泣。苦笑
もう無理することはやめようと思った1日でした。
花束をプレゼントされた時に、嬉しい顔をすることが本当につらい。
花束をプレゼントしてくれることは、事情を知らない人からすれば、それは本当に嬉しいことなので、できる限り紙で包まれた部分を慎重に触り、笑顔で受け取るようにしていました。その後、事情を理解している友人の元に即連絡し、花を引き取ってもらっていました。
それも結構辛いので、花束をもらいそうな気配がしたら事前に事情といらないという意思を伝えるように心がけています。私は花束よりも、チョコレートが欲しいです。
花だけでなく、花を連想させる『ブロッコリー』『カリフラワー』のほか、『レタス』などの野菜も、『私たちは生きている!!』と強く主張されるとこわくて料理できないどころかスーパーで買うこともできない。
この記事の冒頭でも触れましたが、お花だけでなく、『私たちは生きている!!』と強く主張されると野菜や葉っぱでさえ触れません。同居人には『レタス買ってきて』と頼まれたのですが、生き生きしすぎて買えませんでした。。
時に調理することに恐怖を覚えることもあります。でも『料理』と認識できる状態になっていれば、食べることはできます。
花恐怖症を発症して、25年。それでもましになってきています。
遠くで見る分には、美しいと感じます。
自然は美しいし、また、私はもともと大自然に囲まれて育ったので、自然が近くにないと息苦しくなります。地元の環境については、以下の記事に書いてあるので興味のある方は、よかったらどうぞ。
ベルリンの公園を散歩するのも大好きだし、晴れた日には自然を求めて散策しに出かけます。必要以上に花に近づかなければ、自然と共に生活していけるようになってきているとは思います。
フラワーアレンジメントや写真やアートなども、美しいと感じる心は持っています。でもそれも、残念ながら接近したり、触ることは難しいです。でも、一定の距離感を保ちながら見ることはとても好きです。癒されます。
だから、最終的には仲良く共存できるくらいにはなりたいのですが、それにはまだ時間がかかりそうです。
お花の絵を描くことに関して。
『でも、お花の絵を描いているよね??』『あなたの絵を見ると、(カラフルさが)花を連想させるよ!』とよく言われます。
実際に、描いていて、最近の絵には登場する確率が上がってきていますし、お仕事でお花を描くように依頼されることもあります。
https://www.instagram.com/p/BfD9R1_BlmR/?taken-by=kikiiiiiiy
先ほど述べたように『遠くで見る限りは、美しいという感情で癒される』という風に変わってきてきたということもあり、最近ではお花の絵を描きたいという感情も生まれつつあります。
でも描くときはどうしているのかというと、実物を直視することはできないので、誰かが既に絵として描いてれたものを見るか、花たちが主張しすぎていない写真なら見ることができるので、それらを参考にしています。
どれも”リアルさ”を感じさせないことが重要です。苦笑
そして私が描けるお花も、リアルではない、少し空想を含んだお花達です。
そんな感じで、これが”花恐怖症”というやつです。
少しは伝わりましたでしょうか??
真剣に怖がっているので、もし花恐怖症の人に出会ったら、茶化したり、無理に花に近づけようとすることは絶対にやめてあげてください。
そして最後に、もしお花をプレゼントしてくださることを考えてくださった時は、チョコレートをください☺︎
以上、ここまで読んでくださってありがとうございました◎
KiKi
Illustrator・Artist
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